適正な家づくり予算は年収の何倍程度にすればいいですか?
家づくり相談に来られるお客さまからよくいただくご質問のひとつが「住宅購入の予算は年収の何倍程度が適正か?」です。
・自分たちの年収でどのくらいの家が買えるのか?
・年収の何倍くらいまで家にお金をかけても将来の生活が大丈夫なのか?
・自分たちの年収だったらいくらくらいのマイホームが平均的なのか?
気になりますよね。
私は家づくり専門のファイナンシャル・プランナーとして3000件以上のコンサルティングを行ってきましたが、お客様の世帯年収が同じでも、建築する家づくり予算にはかなり差があるところを見てきています。
お話をさせていただいていたみなさん、頭では「各家庭で環境が違うから平均は参考にならないし、年収の何倍で住宅購入の予算は決められない」と分かっているんです。でもやっぱり気になるんです。
なぜ年収倍率という言葉が言われるのか、なぜ住宅購入の予算は年収の何倍かで決めなくていいのか、をお答えします。
家を買った人は年収の何倍の予算をかけているのか?
住宅金融支援機構の調査によると、2017年度の土地付注文住宅を建てた人のマイホーム価格全国平均は、年収の7.3倍になっています。都市圏では年収の7.5倍を超えています。
このような調査資料をもとに家づくり予算をアドバイスする住宅情報誌やネット記事は多く見られますが、これらの情報を参考に家づくり予算を決めてしまって本当に大丈夫なのでしょうか?
年収倍率とは「住宅価格と年収の比率」のこと
住宅購入を考え始め、ネットや雑誌で情報収集をしていると目にする言葉が「年収倍率」。
年収倍率とは、住宅価格と年収の比率を計算したものです。
つまり上でお話ししました7.3倍が、2017年度土地付注文住宅を建てた人の年収倍率です。
上のグラフでもわかりますが、土地の場所によって年収倍率は大きく異なります。
年収倍率7.3倍でみた年収と住宅価格の関係
年収 | 土地付注文住宅価格 |
---|---|
400万円 | 2,940万円 |
600万円 | 4,380万円 |
800万円 | 5,840万円 |
1,000万円 | 7,300万円 |
1,200万円 | 8,760万円 |
単純に年収に7.3倍をかけて住宅価格を計算をすると上の表のようになります。
でもちょっとお待ちください!
この表を見て「年収〇〇円だから家の予算はこのぐらいまで」と考えないでください。年収倍率で家の予算を決めるのはよくないんです。
なぜ年収倍率という言葉が使われるのか?
年収倍率で家の予算を決めるのはよくないにもかかわらず、なぜ住宅購入予算を考えるときに年収の何倍が適正なのか、住宅情報誌やネットメディアで書かれているのでしょうか?
それは上のグラフにもあるように、事実としてみなさんに平均値を伝えやすいから、なんです。
しかし、お客様の世帯年収が同じでも、家族構成や年齢、生活水準も違えば趣味もさまざま。建築する建物の耐久性によって将来のメンテナンス費も違ってきますし、住む場所によって地価も物価も違います。
そしてもうひとつ、住宅関連で同じように「率」がつく言葉でよく耳にするのは「返済負担率」。
返済負担率とは、住宅ローンの年間返済額を年収で割った率です。返済負担率は銀行が住宅ローンを融資するときの目安になるものです。
ここで間違っていけないのは、返済負担率は「銀行が貸すときに目安にするもの」であって「あなたが将来にわたって返済していけるもの」ではない、ということです。
返済負担率も年収の何倍、というものになるため、家を買うときにどうしても「年収倍率」がひとり歩きをしてしまって気になってしまうんですよね。
でも「各家庭で環境が違うから平均は参考にならないし、年収の何倍で住宅購入の予算は決められない」んです。
住宅購入はほとんどの方にとって一生に一度の大きな買い物です。
他の人がどうしているのか、適正価格はどのくらいなのか、気になってしまう気持ちは分かります。
住宅購入の予算は全国平均で年収のどのくらいか、はあくまでも参考として知っておき、自分たちの家づくり予算は年収だけでなく、ご家族のライフプランから算出し将来にわたって安心できる住宅ローンの借入額はいくらにすればよいのかを考えていきましょう。
なぜ住宅購入の予算は年収の何倍かで決めるのはよくないのか?
家づくり予算を年収だけで決めてはいけない理由を例を挙げて考えてみましょう。
Aさん家
- 年収600万円。
- 四国在住。
- ともに40代の夫婦で気ままなふたり暮らし。
- ふたりとも独身時代からコツコツと預貯金をしている。
- ふたりとも家を建てるときには親からの援助がもらえることになっている。
- 登山が趣味でふだんは近所の山を散策、年に1,2回国内の高い山にふたりで挑戦。
Bさん家
- 年収600万円。
- 東京都内在住。
- 40代の夫婦と高校生・中学生のふたりの子どもの4人家族。
- 毎月余ったら貯蓄するようにしているがあまりできていない。
- 親から援助はたぶんいくらかもらえると思う。
- 子どもの塾代や習い事などでお金がかかるがそこは削りたくない。
Aさん家とBさん家、同じ年収ですが同じ住宅購入の予算でいけそうでしょうか?
Bさん家はふたりのお子さんにまだまだお金がかかりそうです。将来のことを考えると貯蓄も必要になりますし、住宅ローンの返済は毎月どのくらいにしておかないといけないのか、とても気になります。
また親からの援助を期待をしていますが、もし援助が受けられなかった場合には家づくり予算を減らさざるを得なくなってしまうかもしれません。
一方でAさん家は貯蓄も親からの援助もあり、余裕をもった住宅ローンの返済計画が立てられそうですしちょっと贅沢な家づくりもできそうです。
このようにまったく同じ年収であったとしても、家族構成や年齢、生活水準も違えば趣味も違います。
建築する建物の耐久性によって将来のメンテナンス費も変わります。
ご家族の将来のイベントを考えると、年収による平均的な家づくり予算よりも安くしないといけないかもしれないし、もう少し余裕があるのかもしれません。
ご家族にとって適正な家づくり予算を知るためであれば、平均的な指標を参考にするよりも、ご家族のライフプランに合わせた家づくり予算を導き出す方法が必要なのかもしれませんね。
自分たちにとっての住宅購入の予算を知りたい方へ
・住宅購入の予算は年収の何倍程度が適正なの?
・自分たちの年収でどのくらいの家が買えるのか?
・年収の何倍くらいまで家にお金をかけても将来の生活が大丈夫なのか?
住宅購入や家づくりを考えている方みなさんが心配に思っていることです。
家づくりコンサルティングでは、ライフプランシミュレーションから身の丈に合った家づくり可能予算を把握し無理のないマイホーム計画をサポートしています。
ぜひ住宅購入ライフプラン診断よりご相談くださいね。
ご相談時によくいただく質問
- 世界規模の金融危機に陥った2008年から2019年までの12年間、住宅ローン金利はどう推移してきたのか?
- 消費税増税前と増税後、どっちに建てるのがお得?
- 住宅購入の予算は年収の何倍程度が適正?
- 病気やケガで働けなくなったら住宅ローンはどうなる?
- 住宅ローン、どうやって比較すればいいんですか?
- なぜハウスメーカーや工務店によって坪単価が違う?
- 家づくりに支払うお金、いつどのくらい必要なの?