失敗例から学ぶ二世帯住宅(5)相続・贈与

プロローグでは触れられていませんが、同居父郎さん・遊子さんには娘:欲美さんがいます。史太郎さんの妹さんです。

アップロードした画像音無子さん

欲美さんに二世帯同居の話ってしているのよね?

アップロードした画像史太郎さん

俺、長男だし、「親の面倒はお兄さんにまかせたわよ」って昔から言ってたから大丈夫だよ。

アップロードした画像音無子さん

お金のことなんだし、相続問題で兄弟間の揉め事なんてよく聞くじゃない?ちゃんと話したほうがいいと思うよ。

アップロードした画像史太郎さん

大丈夫だって。親の面倒も見るし、俺自身も住宅ローンを組んで家を建てるんだから。相続で揉めるのって金持ちばっかりでしょ?うちの実家は相続税がかかるほどの金持ちじゃないよ。

アップロードした画像音無子さん

(話しておけばいいじゃない!何グダグダ言っているのかしら?)…土地がいい場所にあるからたぶん資産価値高いと思うんだけど?

相続税が変わっています!お金持ちじゃなくても対象になるかも!?

アップロードした画像史太郎さん

実家を二世帯住宅に建替えて、俺ら家族が親と同居することにしたよ。

アップロードした画像欲美さん

そうなの。いいんじゃない。でもあたしにも親の資産を相続する権利はあるのよ。分かってるわよね?

アップロードした画像史太郎さん

え?(そんなこと言われると思っていなかった…)でも、親の面倒を俺らが見るわけだし。そもそも実家はそんなに財産もないし相続するもんなんてないよ、きっと。

アップロードした画像欲美さん

分かっているわよ。だから財産って土地くらいでしょ。土地はお兄さんにあげるからあたしがもらえる分のお金をもらえたら問題ないわよ。

アップロードした画像史太郎さん

え?親父ぃぃぃー

アップロードした画像父郎さん

ちゃんと考えないとな。将来の土地の価格は分からないけど、今どのくらいの価値があってそれを相続した場合に相続税がどのくらいかかるのかを住宅営業マンに相談してみよう。

アップロードした画像住宅営業マン

二世帯住宅を建てるときには将来お子さまのご兄弟間での揉め事が起こらないようにきちんと考えておいたほうがいいですね。もしよければお金の専門家ファイナンシャルプランナーに相談して一緒に話を聞いてみましょう。

相続税が変わりました

家づくり専門FP熊谷一志のワンポイント

相続税の基礎控除が平成27年(2015年)1月以降減額されています。つまり、相続税を納める方が増えています。

遺産にかかる基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

詳しくは、住宅にまつわる税金・補助金/相続税のページをご覧ください。

たとえば同居さん家族の場合、父郎さんが亡くなられると法定相続人は配偶者である遊子さんとお子様の史太郎さん・欲美さんの3人です。

3,000万円+600万円×3人=4,800万円
つまり、4,800万円を超える相続で相続税が発生することになります。

アップロードした画像父郎さん

なるほど~。そうなのか。相続税なんて関係ないと思っていたけど、相続税を納税しなくてはならなくなる人が増えているのか。
子どもたちには資産を残してあげたい、と思っていたけど、負担をかけてしまうことにもなりかねないんだな。4,800万円か・・・。将来土地の価値がどのくらいになるか分からないけど、4,800万円超えるかもしれないなぁ・・・どうしたらいいんだろう?

小規模宅地の特例、対象面積が拡大!

アップロードした画像父郎さん

今、土地の名義は私ひとりの名義になっているんだが、二世帯に建替えるタイミングで息子の史太郎と半分ずつにしたほうがいいんだろうか?

アップロードした画像家づくり専門ファイナンシャルプランナー熊谷

いえいえ。史太郎さんの名義を土地に入れてしまうと贈与税がかかってしまいます。土地の名義はお父様おひとりのままで二世帯住宅に建替えることをおすすめします。詳しく説明しますね。

小規模宅地の特例が改正、対象面積が240㎡から330㎡に拡大

家づくり専門FP熊谷一志のワンポイント

平成27年(2015年)1月1日以後の相続から、被相続人の自宅の敷地が80%減額される特定居住用宅地について、限度面積が240㎡から330㎡に拡大されました。

この特例の適用を受ける条件として、被相続人と同居していることが条件なのですが、完全分離型の二世帯住宅も同居とみなされます。

土地を相続する

※1坪=3.3㎡で計算しています。

【非同居の子が親の家を相続した場合】
土地の評価額は、1億円
※ 非同居の子とは、相続開始前3年以内に親の家に同居しておらず、子所有、子の妻所有の家がなく、他の相続人が住んでいないことを指します。

【同居の子が親の家を相続した場合】
土地の評価額は、1億円×(1-0.8)=2,000万円

同居なのか非同居なのかによって、土地の評価額は8,000万円も異なります。相続税は、土地の評価額×税率となります。

アップロードした画像史太郎さん

なるほど。将来の土地の価格次第だけどお父さんの財産が土地以外にあまりない、ってことであれば土地を相続しても相続税の基礎控除の範囲内におさまりそうだ。相続税はかからないかもしれないな。

アップロードした画像父郎さん

そうだな。よかった。それであれば相続税に関しては大丈夫そうだから、欲美へも何かの形で財産を残すことを考えないといけないな。

アップロードした画像欲美さん

うちもマイホームを郊外に将来買う予定だからそのときにでも資金援助してくれてもいいわよ♪よろしくね。

アップロードした画像家づくり専門ファイナンシャルプランナー熊谷

ご家族で話し合って決めてそのまま揉め事にならないのが一番なのですが、おすすめなのは遺言書を残しておくことです。遺留分を考慮し、息子さんに土地、お嬢さんに現金いくら、といった風に書いておくと安心ですね。

二世帯住宅の相続・贈与のポイント

  • 相続税を納めないといけなくなる可能性も。
  • 土地は大きな財産。あらかじめ相続について話し合っておく。
  • 税制は難しく分かりづらいもの。複雑な場合、心配な場合には専門家に相談を。
  • 将来の揉め事を避けるために遺言書を残すことも。

二世帯住宅のお金や相続について相談したい方は、住宅購入ライフプラン診断(11,000円(税込))でスッキリ分かりやすくご説明させていただきます。

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失敗例から学ぶ二世帯住宅

(1)プロローグ
二世帯住宅を考えたらまず最初にやることは?
(2)間取り
うまくいく二世帯住宅の間取りはどうやって決めていくの?
(3)音の問題
同居を始めると一番気になるのは音!
(4)建築基準法・水道メーター
建て替えをすることにしたら今の家より狭くなるって本当?
(5)相続・贈与
相続税や贈与税、どういう場合に払う必要があるの?
(6)お金のこと
二世帯住宅にするときの費用負担や住宅ローンのことを教えて!
(7)二世帯住宅が始まった
いざ二世帯同居が始まってみたら、あんなことやこんなことも・・・